札幌市議会 > 2020-03-19 >
令和 2年(常任)文教委員会−03月19日-記録

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  1. 札幌市議会 2020-03-19
    令和 2年(常任)文教委員会−03月19日-記録


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    最終取得日: 2021-04-26
    令和 2年(常任)文教委員会−03月19日-記録令和 2年(常任)文教委員会            札幌市議会文教委員会記録            令和2年3月19日(木曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時     ―――――――――――――― ○松井隆文 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、長屋委員からは、欠席する旨、連絡がございました。  それでは、議事に入ります。  令和元年6月死亡事例に係る検証報告書についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎山根 子ども未来局長  このたび、令和元年6月に発生いたしました2歳女児の死亡事例につきまして、有識者の皆様による検証が終了し、検証報告をいただきましたことから、本日、その内容のご説明を申し上げます。  当該事案は、市の機関が複数かかわる中での大変痛ましい事案でございまして、改めて、お亡くなりになった2歳の女の子に心からご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  札幌市といたしましては、いただいた検証報告を踏まえ、全庁職員が一丸となって再発防止に全力を尽くす所存でございます。  検証報告につきまして、詳細は、お手元の資料に基づき、子ども育成部長よりご説明申し上げます。よろしくお願いいたします。 ◎山本 子ども育成部長  私から、札幌市子ども・子育て会議児童福祉部会より、今月11日に市長に手交されました検証報告書について、お手元の資料に基づき、説明をいたします。  なお、A3判1枚の概要版と検証報告書の本書をお配りしておりますが、本日は概要版に基づいて説明をいたします。  まず、概要版の左上1の検証体制についてです。  位置づけとしましては、児童虐待の防止等に関する法律に基づく重大事例に対する地方公共団体としての分析等の責務を踏まえたものであり、札幌市におきましては、附属機関である札幌市子ども・子育て会議の中に常設されております児童福祉部会検証組織としております。具体的な検証に当たっては、この児童福祉部会の中に、6名の委員で構成する検証ワーキンググループが設置されました。中ほどの委員名簿にありますように、児童福祉部会長である北海道大学大学院松本部会長を座長として、市内外の母子保健地域連携等の専門家を含む6名の委員にて、ヒアリング調査を中心に合計12回にわたるご審議を踏まえ、検証報告書をまとめていただいたものでございます。  事例の概要につきましては、右側の2になります。  令和元年6月5日に実母の通報を受けて救急隊が出動いたしましたが、病院への搬送後、死亡が確認されたものでございます。
     続いて、3の事例の支援経過に係る問題と課題についてでございます。  検証報告書では、支援経過を3期に分けて、支援内容に係る問題点等が整理されております。  まず、第1期でありますが、これは平成28年6月の本児の妊娠届け出から、平成30年6月の1歳6カ月児健診までの期間でございます。  具体的には、本児の妊娠前になりますが、平成27年12月に、実母は、保健センターに、本児ではないお子さんになりますが、妊娠届け出をされました。17歳の若年妊婦ということで、母子保健担当にて継続支援の対象と位置づけられております。このお子さん人工妊娠中絶のため、翌年1月に一度支援を終結しますが、同年6月に本児の妊娠届け出が再びありまして、改めて支援を再開し、本児は平成28年12月に出生しております。  その後、平成29年2月に同一区内で実母と本児が転居しており、同年4月にこのことを把握した母子保健担当では、住所地が変わったことから担当保健師が変更になっております。このあたりの期間では、実母は、妊娠中に母親教室に訪れたり、出生後は予防接種で保健センターに来所したりと、比較的、区との接点は保たれておりました。  その後、平成29年4月に4カ月児健診がありまして、体格が小柄ということで、健診担当医師は2カ月後の経過観察の指示を出しておりますが、実母は来所いたしませんでした。さらに、10月に予定していました10カ月児健診への来所もありませんで、かかわりが徐々に薄れてきているという状況でございます。  その後、1歳6カ月児健診が平成30年6月にありますが、このとき、身長、体重ともかなり小さく、健診担当医師は、精密健康診査受診票を発行するとともに、3カ月後の経過観察の来所を指示しております。  以上が、第1期の経過でございます。  この期間は、主に区の保健センター母子保健担当での支援が中心となる時期ですが、弱いながら接点を持ち続けていたが、徐々に母子保健担当かかわりが薄くなる、そういった時期でございます。  この期の課題ですが、課題1にありますように、特定妊婦というハイリスク妊婦であり、支援を要するということはわかっていたものの、要対協ケースに位置づけられておらず、対象者へのアセスメントが不足していたこと、また、課題2にありますように、乳幼児健診時に極端な身長と体重の増加不良という結果が出ておりますが、その結果を踏まえたフォローがされていないということなど4点が挙げられております。  続いて、第2期でありますが、これは平成30年9月の児童相談所への1回目となる通告から、平成31年3月の実母、本児が区をまたいで転居するまでの時期でございます。  まず、平成30年9月に児童相談所に通告が入ります。この通告に対しては、同日、児童相談所が実母、本児と面談ができ、虐待なしと判断をしております。児童相談所では、この結果を区の母子保健担当に提供し、見守りの継続を依頼したとのことでございますが、母子保健担当は、児童相談所の目が入ったということで安心したという認識を持っております。また、母子保健担当では、これを台帳に記録せず、組織内で共有しておらず、また、家庭児童相談室とも共有していないという状況でございました。  次に、平成30年12月ですが、実母を生活面で支援していた区保健福祉部生活支援担当でございますが、実母からの申し出に基づき、交際相手の出現に伴い、生活支援から自立したいとの申し出を受け、廃止について組織決定をしております。  その後、3月に実母と本児は区をまたいで転居することとなりますが、区の母子保健担当では、生活支援の廃止や転居のことについて認知しておらず、1月以降は連絡もとっていないという状況が続いております。  このように、第2期は、虐待通告交際相手の出現、転居といった家族力動の変化があるものの、組織間での連携が見られないまま、母子との接点が途絶えていった時期でございます。  この期の課題としましては、課題1にありますように、虐待通告が入ったときの区と児童相談所との情報共有進行管理が不十分であったこと、また、課題2にありますように、区の母子保健担当では、児童相談所からの連絡があったにもかかわらず、再アセスメントができていないことなど4点が挙げられております。  最後に、第3期でございます。  こちらは、平成31年4月の児童相談所への2回目の通告から、警察への通報を経て、死亡に至るまでの期間でございます。  まず、平成31年4月5日金曜日に児童相談所に2回目となる虐待通告が入り、同所では、同一アパート内の可能性のある世帯から本世帯を含む2世帯に絞り込み、当該世帯も同日訪問しましたが、不在でございました。そこで、その後、土・日を経て、ここでいわゆる48時間ルールの48時間は経過するのですが、翌週の9日火曜日に実母に架電したところ、折り返し入電があり、現在、交際相手宅にいるとのことで、自宅に戻ったら連絡をしていただくことなどを依頼しております。  その後、4月には、複数回、実母に架電、訪問をしておりますが、いずれも不在という状況でありますが、児童相談所の認識では、この間、通告の対象は必ずしもこの世帯かどうかは特定できていなかったという認識であったということでございます。  次に、5月12日に住民から警察に泣き声通報がありまして、警察から児童相談所に、夜間、電話があり、取り扱い履歴の照会を求められております。この段階では、住所のみで対象世帯がわかるかという問い合わせであり、わからない旨を答えております。  翌5月13日には、警察にて本世帯を特定しましたが、面会時間に実母と会うことができず、夜間に、児童相談所担当課長と警察との間で取り扱いをどうするかとやりとりがございます。  ここで、児童相談所と警察との間で認識のずれがありまして、児童相談所としては、同行訪問を求められたという認識でありますが、実母に実際に面会できない状況下で、夜間の体制という問題点もあり、その要請は断った上で、実母に架電する対応をとったということでございます。一方、警察の認識としては、本児が死亡しているかもしれないという受けとめのもと、夜間の同行訪問というよりは、むしろ強制的な立入調査も含めた対応を児童相談所に尋ねたというもので、何を頼んで、頼まれたかという点で認識のずれが見られております。  翌5月14日には、警察から児童相談所に入電があり、翌15日に実母、本児と面会できることになったという連絡でございました。ここでは、結果的に警察が単独で面会するということに至っております。  最終的に、5月15日に警察が単独で面会し、虐待が認められなかった、一方、実母は本児について発達相談の意思があるという情報を得て、児童相談所では、実際に実母、本児に面談することなく、虐待事実なしとして終結し、発達相談に切りかえております。  その後、児童相談所では、複数回、電話連絡や訪問するも不在で接触できず、最終的に6月5日の死亡を迎えております。  このように、この第3期は、短期間に複数の通告がありましたが、結局、児童相談所、区役所とも本児に会うことができず、事案が進行していったというものでございます。  この第3期の課題としましては、課題1にありますように、児童相談所情報収集リスク評価進行管理が甘かったこと、課題3にありますように、児童相談所と警察との間で認識のずれがあったこと、児童相談所として本児の確認を行うことがなかったことなどの4点が挙げられております。  以上が、事案の経過でございます。  資料の下に、全体を通した本事例の特徴として、ただいま課題として申し上げたことが大きく4点まとめられております。  まず、(1)の事例の理解の視点とアセスメントにおける問題点として、実母がまだ10代後半の子どもであるという理解、支援ニーズの評価が欠落していること、さらに、乳幼児健診という専門的な観点での評価の不備、家族力動の変化への考慮がないこと、当事者の側に立っての問題を理解する観点がないことなどでございます。  このほか、(2)の支援のあり方における問題点として、全体を通してのアセスメントの視点、さらに、複数の組織間による協働の視点が見られないこと、(3)として、専門的な力量を持つ職員が育成されていないこと、(4)として、組織的なマネジメントが機能していなかったことでございます。  これらの課題を受けて、検証報告書では、右側の4に記載のとおり、7項目の提言をいただきました。  まず、1点目として、区及び生活圏を単位とした支援体制の強化の必要性であります。  これは、各区の保健センター機能強化のほか、区と児童相談所との連携強化や、生活支援担当でもこの分野における役割発揮の必要性が指摘されております。  次に、2点目として、母子保健体制の見直し、乳幼児健診の改善の必要性であります。  これは、日常的業務の徹底のほか、地域住民健康増進に寄与できる体制のあり方や、メンタルケアといった精神保健的な視点の役割の強化を求められております。  次に、3点目として、事例全般にわたる問題でもありますが、アセスメント支援方針の共有、協働体制進行管理の徹底の必要性であります。  次に、4点目は、主に児童相談所についてですが、調査体制のあり方や警察との連携、役割分担の明確化、さらに、休日・平日夜間の体制強化の必要性であります。  次に、5点目は、専門性を持った職員、特に児童福祉司、保健師、中堅職員人材育成、研修の必要性であります。  次に、6点目でありますが、これは、札幌市だけではなく、国への提言も含まれますが、10代後半の女性への支援が薄いというご指摘であります。どうしても、児童福祉法上は、18歳未満、あるいは、母子保健分野では妊婦であることなどが業務分担としてございますが、どこのセクションからも支援を受けない方への対応といったものについての制度的な枠組みの創設の必要性についてでございます。また、児童虐待とDVとの特性を踏まえた連携についてでございます。  最後に、7点目として、この10年余りの間で4回目の検証であるということも踏まえ、検証報告書進捗状況について、外部の有識者の目でしっかりと点検、評価する必要があるというご指摘もいただいております。 ○松井隆文 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小須田ともひろ 委員  再発防止に向けた取り組みについて質問させていただきます。  検証報告の詳細をお伺いし、まずは、ヒアリング調査など合計12回にわたり詳細に事案の経過や提言をまとめられた、松本先生初め、検証ワーキンググループの委員の皆様に心から敬意を表したいと思います。  今回の検証報告では、おわりににまとめられていますように、この10年余りの間に4回目の検証となることについて、過去の死亡事例から本気で学ぶつもりがあるのかといった大変厳しい指摘もありました。加えて、報告書に記載されている内容は、市の関係機関の事務処理の不徹底、あるいは市の組織内外における情報の共有、そして連携不足といったことが指摘されております。そして、何よりも、支援の対象として、当事者、特に子どもに寄り添っていなかったという市の仕事の進め方の基本が至らなかったという指摘を、市はしっかりと受けとめていく必要があると思います。  また、第1期から第3期までに何とかできたのではないかという多くのポイントもあります。具体的には、なぜ要対協に上がらなかったのか、乳幼児健診の厳しい結果を生かせなかったのか、警察との連携を十分にとれなかったのかなどありますが、これらのポイントをしっかりと改善し、再発防止に向けてしっかりと取り組んでいかなければなりません。  そこで、質問ですが、将来、二度と同じことを繰り返さないという強い決意のもと、今後の再発防止策にどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎山根 子ども未来局長  再発防止に向けた取り組みについてのご質問でございます。  このたび、10年余りの間に4回目の検証をいただくこととなりましたが、報告書の中では、過去の検証で課題とされたことが今回の事例でも繰り返されていることに対し、大変厳しいご指摘を頂戴したところでございます。  再発防止に向けましては、児童相談所や各区はもとより、全庁職員が、子どもを初め、当事者の立場に立って問題解決するという意識を持ってもらうため、職員に報告書の内容についてしっかり読み込むよう、先日も市長がメッセージを発信したところでございます。今後も、さまざまな研修の機会等を通じまして、積極的に報告書の内容を周知し、職員が自分のこととして受けとめるよう促してまいります。  あわせまして、昨年6月に町田副市長を本部長として設置いたしました緊急対策本部を発展・改組いたしまして、来年度、速やかに市長を本部長とする全庁横断的な児童虐待防止に係る対策推進本部を設置し、その中で報告書にお示しいただいたご提言を踏まえた改善策を打ち出し、その進捗管理を行い、絶えず検証しながら取り組みの強化や職員の意識向上を図ってまいりたいと思います。  加えまして、本市の事例だけではなく、全国の事例も我が事として学び、常に緊張感を保ちながら、児童虐待防止に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  提言に記載されております項目について、全庁を挙げて取り組んでいくということでした。  具体的な提言項目に目を移しますと、例えば、区役所を中心とした機能強化や、新たな制度や仕組みの構築などがあります。これは大変重要なことでありまして、しっかりと取り組んでいただきたいのですが、それ以上に気持ちを引き締めて取り組んでいただきたいのが、おわりにの部分で触れられております市の職員としての仕事の進め方、組織内外での連携のあり方や協働の文化の構築というところです。  検証報告では、例えば、区と児童相談所、あるいは区の内部で、どちらかがかかわるともう一方は抑制的になる、あるいは、みずからの組織の中で支援の終結の仕方が曖昧といった事例を交えて厳しい指摘がされております。市長も、定例記者会見で、情報共有や組織間の連携のあり方について意識改革が必要との認識を示されておりました。意識改革は一朝一夕にはいかないということは理解できますが、一刻も早い改善に向けて具体的な取り組みを示すことも必要であると思います。  そこで、質問ですが、児童虐待、ひいては福祉業務における仕事の進め方において協働の文化を根づかせるために、どのように職員への意識改革を進めていくお考えか、お伺いいたします。 ◎山根 子ども未来局長  市職員の意識改革についてでございます。  本事案におきましては、検証報告書でもご指摘をいただいておりますように、初期段階でのアセスメント支援方針の共有が不足しており、その後の追加の情報や家族力動の変化に対し、再アセスメントができておらず、組織内外の連携や情報共有が至らなかったものと認識しているところでございます。  こういったことは、職員がみずからの職務の役割を限定的に捉えてしまい、制度や組織の論理が先に立って物事を判断してしまったことも要因ではないかと考えているところであります。  市長からも、去る17日に開催いたしました緊急対策本部会議におきまして、職員一人一人が協働の視点や支援を受ける側の立場になって問題を理解する観点を意識する必要があること、さらに、職員の意識の問題に加えまして、それをしっかりと担保する仕組みが必要であることなどの指示があったところでございます。  今後は、こういった支援の必要な方々に寄り添いまして、協働していくという仕事の進め方について研修の実施やマニュアルなどで位置づけるとともに、具体的な事案におきましては、各区の要対協などの実践の場を通しまして定着させていくよう促してまいりたいと思います。 ◆小須田ともひろ 委員  今回の報告書に、過去3度の事案に対する検証報告書の主な内容も記載されております。いずれの事案に関しましても、学校や児相など関係機関同士の連携や情報の共有が課題であると認識され、提言を受けております。これまでの議論にかかわってきた方々からも、今までの話し合いが何の役にも立っていないのではないかといったような落胆の声も聞かれました。  今回のような事案を見逃がさないための体制の増強や連携の強化などの改善はもちろんですが、そもそも虐待を起こさせないためにどんな体制が必要なのか、そこにも全庁を挙げて取り組んでいただくよう強く要望しまして、私の質問を終わります。 ◆松原淳二 委員  私からも、質問をさせていただきます。  この10年で過去3回、今回で4回目となる検証報告となりました。これまで失われたとうとい命に報いるためにも、やはり、支援を必要とする人への適切な支援のあり方、そして切れ目のない支援のあり方など、この検証報告をしっかり受けとめ、全庁一丸となって、改善、取り組むことを、冒頭、求めておきたいと思います。そして、これが最後の検証報告であることを切に願いながら、順次、質問をさせていただきます。  私からは、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協における情報収集の仕組み並びに今後の体制強化について伺います。  本検証報告でも、過去の経過の中から、三つの時期に分け、それぞれ複数の課題などが示されました。本来であれば実施すべきものが着実にその担当で行われていれば、こういったことは起きない、その前提でお話をさせていただきますが、要対協で検討する場に各リスクの情報が一度も上がることなく見過ごされてきたこと、そしてまた、保健センターでの組織的管理も行われなかったこと、このことがこの課題の根幹にあると考えております。本来実施すべき各担当での業務が不足しているか、それをチェックするのがこの要対協であり、ここに情報を収集するのが要対協のかなめの役割だと思っています。  本事案は、10代という若年出産に加え、乳幼児健診時の成長不良、経過観察等の未受診、生活支援担当の支援の終了、そして複数回の児童虐待通告、幾度となく要対協ケースとして扱う判断をするタイミングがあり、この過程でも大小さまざまなミスや判断の不徹底といったものがありましたけれども、これだけの情報を各関係部署で個別に入手していながら、区の要対協を主管する家庭児童相談室に一切の情報が共有されていなかったことは、この事例における本当に大きな問題であり、それとともに理解できない点であります。10代で2度の妊娠を踏まえると、ハイリスク妊婦として初期の段階で要対協ケースとして進行管理を行うべきと判断しなかったこと、これらがこの問題の大きな引き金になっているのではと考えます。  聞きますと、確かに、妊娠、出産、育児等に支援が必要と考えられる特定妊婦を要対協で進行管理するルールとなったのは2017年の4月ということでありまして、本件、2016年12月に出産した本事例は、要対協ケースという扱いにはしていない時期ではありました。しかしながら、あえて言わせていただきますが、2017年にルールが変わった際に、それ以前までの特定妊婦を加える必要がないのか、本当にこのルールが変わった以降からだけの対応としてよいと考えるのか、この点については、スキルやノウハウ、こういったものがなくてもわかる、想像力の欠如としか言いようがない判断だと思っています。  一つのリスク、または複数のリスクからアセスメントをする、そして、支援が必要か、介入が必要か判断をする、評価をする、こういったことが行われて、そして、その評価と判断の是非といったものは、その時々の判断というものがあろうかと思います。しかし、こういったアセスメントが何度か繰り返される、そういった積み重ねで、限りなくその支援、介入の必要性の精度といったものが上がるものと考えます。幾ら担当内でしっかりアセスメントができる体制をとっていたとしても、それらは不十分であります。関係部局がそれぞれで発覚する小さなリスク一つ一つを収集し、それぞれのアセスメントを積み上げながら再アセスメントをする、そのことでさらに精度を上げていく、こういった仕組みにしていかなければなりません。そういった情報収集をし、アセスメント、そして再アセスメントをしていく、そういったことを行うのが要対協の大きな役割で、そこに情報が集まらないということのない仕組みを早急につくらなければなりません。  また、保健センターにおいては、母子保健の担当者から上司への報告、家庭児童相談室への情報提供が行われていないため、センター内での組織的なリスクアセスメントがないという担当内での問題も明らかになっています。担当内で共有がされていないといったことはもってのほかであり、これまでの検証が全く生かされていないと言わざるを得ません。  加えて、生活支援担当は、支援終了や新たな交際相手の存在という重要な転機と言える情報を保健センター等に提供せず、また、児童相談所は、一連の対応の中で保健センターと分担して対応に当たるという視点に欠けていたと思っております。  過去3回の検証報告において、要対協の重要性や協働の視点について提言されていながら、情報共有の仕組みが十分ではなく、組織的マネジメントが機能していないことや、要対協にかかわる認識が全市的に不足し、活用できていないという課題が浮き彫りとなっています。この課題を解決するためには、積み上げたリスク情報が家庭児童相談室を中心に共有され、要対協登録に向けたアセスメントが確実に行われる仕組みとなる機能を整備する必要があると考えます。  そこで、質問ですが、リスク情報が集約され、アセスメントが的確に行われる仕組みをどのように整備するのか、お伺いいたします。 ◎高橋 児童相談所長  リスク情報が集約され、アセスメントが的確に行われる仕組みについてでございます。  今回の事例が、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協の取り扱いケースになっていなかったこと、これにつきましては、重大な問題と捉えております。関係機関と要対協事務局であります各区家庭児童相談室の連携や協働のあり方を考え直さなければならないと認識しているところでございます。  札幌市では、要対協の調整機関は児童相談所が担っております。各区におきましては、事務局を置きまして、各区が進行管理や支援機能を果たす仕組みとしております。新年度につきましては、この要対協の体系を札幌市の機構的にも明確に反映して、各区の健康・子ども課長が児童相談所の課長職を兼務することといたします。このことで、児童相談所と各区が協働で要対協の運営を行っていく体制としたいと考えております。  その上で、各区の要対協に関係部署のリスク情報が確実に積み上がり、登録に向けたリスクアセスメントが迅速にできる仕組み、これらを構築するための見直しですとか、いわゆるケースの進行管理にかかわるマネジメント機能、これらを高めていくための業務マニュアルの整備など、具体的な強化に取り組んでまいります。  また、要対協における庁内外の関係機関が、子どもとその家庭の支援のため、主体的に行動して、かつ確実に必要な情報を要対協に上げるよう、市役所庁内、他の本庁部局とも連携による意識啓発、要対協の代表者会議等の場面など、こういったところを通じまして、情報共有の強化を図るための研修の実施など、それぞれ具体的な取り組みについて検討して実施してまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  機構も含めて体制を強化する、そして、児童相談所と区の家庭児童相談室等々の連携といったこともうたわれました。  こういったそれぞれのミッションをしっかり強化していくということは当然でございます。ただ、やはり、この連携をいかに密にするのか、情報の収集をいかに要対協にしっかり集めるのか、そして、進行管理をどのように行っていくのか、機能を強化していくのか、決して、これ以上、取りこぼし、漏れ、こういったものがないようなリスク管理をしていかなければなりません。  アセスメントを行うためには、幾つかのリスクを評価して判断をする、これは必要なことであります。それによって、危険度、重要度といったものが変わってきます。ただ、最初の小さなリスク、これをしっかりと要対協に集める。かなりのボリュームになると思います。それでも、一度集めて、それを全庁共有する仕組みを要対協が行う、そういった認識を改めて持ち直す、このことが何より大事だと思います。それぞれの部局の強化といったものも必要ですけれども、まずは、要対協の強化と。要対協の強化というよりは、要対協に上げる仕組み、決して漏らさない仕組みといったものをさらに強化をしていただきたいと思います。  続いて、支援拠点化に向けた体制の強化という点についてお伺いいたします。  国でも各市町村に子ども家庭総合支援拠点の設置を求めており、本市においても、できるだけ早急に必要な機能、体制を構築すべきと考えております。  この拠点化に関しては、本検証報告では、要対協ケース増加などの業務量に見合う人的体制の充実という視点はもとより、ソーシャルワークを担い得る社会福祉士を初めとする経験と力量のある専門職を配置の上、マネジメント機能を充実させることが求められており、わずかな職員増のみで支援拠点が実現したという方向性にはならないと提言をされています。  新年度に、大規模区、中規模区の家庭児童相談室に一般職が1名ずつ、計6名増員されることとなっております。支援拠点化にはまだまだ体制強化が必要であり、さらにソーシャルワーク能力を有する人材育成や専門職採用を進めるべきであり、そのための徹底した人事政策をとる段階に来ていると考えます。  そこで、質問ですが、支援拠点化に向け、専門的人材の育成や採用、配置についてどのように取り組んでいくのか、考えを伺います。 ◎高橋 児童相談所長  支援拠点化に向けた体制の強化のご質問でございます。  要対協の中核的機能を担います子ども家庭総合支援拠点につきましては、今お話がありましたとおり、国が定めた要綱上も、一定の体制を整えまして、社会福祉士ですとか、大学などで心理学の課程を修了した者などの専門職を配置することが求められております。  このことから、札幌市におきましても、支援拠点のあり方につきましては、今回の検証報告でもご指摘されましたとおり、外部有識者の意見も取り入れながら、具体的な役割ですとか機能について検討してまいりたいと考えております。  また、機能整備に当たりましては、ソーシャルワーク機能を十分に発揮できますよう、人材育成の方針ですとか専門職の配置について、採用や人事異動のあり方も含めて人事部門とも検討して進めてまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  子ども家庭総合支援拠点、拠点化については、外部有識者の意見なども踏まえながら、具体的な役割、機能を検討するということでございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、また、専門的人材の育成、配置に向けては、人事部門と協議、検討するということでございますが、ここは、確実に実行、実施できるよう、しっかりとした協議を行っていただきたいと思います。二度とこういったことがないためにも、何としてでも、ここの人材確保、特に有スキル者、育成も含めると、相当な時間がかかると思います。こういった点もしっかり踏まえていただきたいと思いますし、あわせまして、児童相談所についても、人材不足、有スキル人材の不足といったものがうたわれています。児童相談所機能強化に向けても、3次プランで具体化を図るものの、先んじて人材確保、福祉専門職の確保を早急に行うとともに、医師や弁護士などの専門的知見も活用できる仕組みを求めておきたいと思います。  先ほどもありましたが、検証報告書の終わりには、「札幌市は、これまでの死亡事例等から本気で学ぶつもりがあるのか。市民の困難を共感的に洞察し、協働の文化を持つ組織になる必要性を、本気で感じているのか。市政のあり方そのものが問われている。」との言葉で締めくくられています。  この10年で過去3回、今回を含めると、4回、この検証報告が行われ、子どもたちの死に本気で向き合ってきた検証委員の切実な思い、そして、最後通告であってほしいとの願いとして一文に込められたと思います。これでも、極めて冷静に怒りや憤りを必死に抑えての表現にとどめたものと私は理解しています。  私を含め、市政に携わる全てが改めてこの一文を心に刻むとともに、決して今の代がかわったからといって変わるものではなく、新たな人材にもしっかりつなげ、風化させない取り組みとしていただくことを求めて、私からの質問とさせていただきます。 ◆森山由美子 委員  私からは、3点質問をさせていただきます。  まず初めに、児童虐待防止に向けたシステム連携について質問をいたします。  検証報告書によると、本事例では、保健センターにおいて若年妊婦としてのかかわりが発生してから複数の介入ポイントがあり、要対協としての検討の場がそれだけあったと言えますが、どの段階においても情報共有が十分ではないまま推移し、要対協での検討の場は一切持たれておりません。このため、保健センターでのリスクマネジメントが機能しておらず、児童相談所においては、あるべき十分なリスク情報が保健センターから共有されないまま、平成31年4月の2回目の虐待通告以降の対応においてリスク評価を見誤っており、家庭訪問をなし得ないまま、大変痛ましい結果に至っております。  ほとんどの情報は担当者を介して入ることを考えると、業務手順や要対協の検討基準を定めても、1人当たり相当の業務量を抱える札幌市では、担当者が多忙に追われて、入手した情報への対応や次の手順に手が回らず、ほかに共有もされないことが起こり得るものと想定することが必要と考えます。
     検証報告書においては、全体を通した課題の(4)組織的なマネジメントが機能していない問題点において、「個々の業務において、職員個人の判断の誤りや、進行管理において報告が上がらないケースがあったとしても、管理職の立場で、それを防ぐような仕組みとすることが必要である。」との指摘があり、また、提言の(3)アセスメント支援方針の共有を軸とする協働体制の構築と進行管理の徹底の必要性の中では、担当職員が本来行うべき事務を失念してしまったとして、それをカバーするのが組織であり、その意味では、区を単位とした一人一人の子どもの見守り体制の強化に向けては、個人情報の共有を一元化し、紙台帳以外のシステムによる管理手法の検討が必要であると示されております。まさに、再発防止のためには、必要な情報がまずは組織的に共有され、そして、他機関に的確に提供されなければ、支援の網の目を張ることなどできないと考えます。  そこで、質問ですが、さきの我が会派の前川議員の代表質問でも、関係部署情報共有にかかわるシステム連携の必要性を訴えたところでありますが、児童虐待防止のための的確な進行管理やマネジメントを行っていく前提として、今後、いかにして、組織的に、さらには、保健センター児童相談所等の庁内関係機関間において確実に情報共有ができるシステムやツールを強化していくのか、お伺いいたします。 ◎高橋 児童相談所長  情報共有ができるシステムやツールをどのように強化していくかというご質問でございます。  まず、ことし2月には、区役所の家庭児童相談システムを新規開発しまして、私ども児童相談所と各区家庭児童相談室がお互いの把握している情報を相互閲覧できるようにしたところでございます。また、各区保健センターで使用しております母子保健システムの情報につきましても、必要な情報を児童相談所でも閲覧できるように、現在、関係部署と調整を行っているところでございます。  さらには、児童相談所、各区家庭児童相談室、そして、母子保健担当がそれぞれ保有しております、いわゆるアセスメント情報、こういったものを、システム連携の技術を使いまして即時に情報共有ができますよう、町田副市長をトップとしたプロジェクトチームを立ち上げて、現在、検討を進めているところでございます。  こういった取り組みを進めることによりまして、リスクの再評価において、いわゆるヒューマンエラー、人的部分のリスク、これを防止できますよう確実な情報共有の実現に努めてまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  次に、北海道警察との連携体制の強化について質問をいたします。  検証報告書によると、本事例では、令和元年5月に警察に通報が入って以降、警察が訪問調査を進める中で、児童相談所との調整において認識のずれが継続していたことが指摘をされております。調査権限や体制面に関する相互理解と役割分担の認識が曖昧であっては、緊急時の対応の中で速やかに共通の判断が下すことができない状況は当然に発生し得ることであります。児童虐待の調査において、連携して対応に当たる機関間でこのような認識のずれは起きてはならないことであり、制度面の理解と体制を踏まえた役割分担を深めるための十分な協議の場や相互研修が必要と考えます。  そこで、質問でありますが、警察との連携をさらに深めていくために、今後どのように取り組む考えか、伺います。 ◎高橋 児童相談所長  警察との連携体制の強化でございますが、現在、北海道警察とは、6月の事案の発生後から、厚生労働省ですとか警察庁通達など、国からの通知内容を踏まえ、児童虐待通告受理後の具体的な対応方法を含む連携のあり方ですとか、警察と児童相談所の相互理解を深めるための協議を継続しているところでございます。  今回の検証報告では、夜間・休日を含む連携のあり方、特に安全の確認、一時保護の判断、こういったところの初動段階において、現場レベルでの動き方や運用についての取り決めの重要性などのご指摘をいただいております。  そういったことから、引き続き、北海道警察と今回の提言を踏まえた協議を行いまして、連携してこのようなことがないように取り組んでまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  最後に、若年期の女性に焦点を当てた支援制度について質問をいたします。  今回の検証報告では、実母自体が若年での妊婦ということで、交際相手との関係やメンタル的なケアの問題、高等学校等の連携のあり方を含め、提言の中に10代から20代に差しかかる困難を抱える女性への支援体制、支援の枠組みの必要性が提言をされました。特に、10代での妊娠は、まさに子どもが子どもを産むということで、本人自身の身体面、精神面、経済面などの不安はもちろんの課題ですが、妊娠期間、出産後も社会とのつながりや他者との信頼関係の構築が大変難しいと言われております。  札幌市における15歳から19歳の女子の人口1,000人に対する人工妊娠中絶実施数は、平成30年度8.9であり、全国の4.7に比べ、1.9倍となっている点も懸念をされます。この世代は、SNS等に起因する被害にも遭いやすく、性暴力やDVと児童虐待との関係が深いという報告があることも大変気がかりであるところです。  市では、次代を担う若い世代に正しい知識を普及し、自分自身と交際相手、パートナーの心と体を大切にするという思春期保健の推進を図るべく、学校教育と保健所が連携した思春期ヘルスケア事業や医療機関と連携した普及啓発などを実施しております。これらの取り組みは意義があると考えますが、こういった情報発信や性教育は息が長い取り組みであり、悩みや被害などの困難を抱える方への支援については、迅速に具体的な仕組みづくりも望まれると考えます。  そこで、質問でありますが、提言にある思春期、若年期の女性を対象とした支援制度の創設に向けて、どのような取り組みを進めていくお考えか、お伺いいたします。 ◎山本 子ども育成部長  思春期、若年期の女性を対象とした支援制度についてでございます。  検証報告でもご指摘いただきましたように、児童福祉法母子保健法といった制度の対象から漏れる方、あるいは、高等学校を中退、休学中などで教育機関とのかかわりが薄い方など、制度や支援対象から外れる可能性がある若者への支援は大変重要であると認識をしております。  札幌市としては、まずは各区保健センターや若者支援総合センターなどの相談窓口で、このような方々からの困り事に寄り添い、相談に応じ、適切な機関や支援へのつなぎを含めた取り組みを行っていく必要があると考えております。加えて、検証報告においてご指摘をいただいたような支援制度についても、国の動向を注視しつつ、実態調査や先進事例の分析などを行い、保健福祉局や市民文化局、教育委員会など関係する部局とも十分協議しながら検討を行ってまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  最後に、要望を申し上げて終わらせていただきますが、今後は、本当に二度とこのような痛ましい事件は起こさないという決意、そして情熱を持って、さらに、今後、全庁を挙げて一人の命を大切にするという視点に立ち、本市各区の各部局が、それぞれ受け身ではなく、主体的に積極的姿勢で児童相談所関係部署情報共有にかかわるシステム連携を構築すること、また、若年期の女性については、丁寧に教育現場とも連携し、迅速に取り組みを行っていただくことを強く求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。 ◆村上ひとし 委員  私も、このA4判の検証報告書を、全部、何度か見ましたけれども、非常に細かい分析と課題を明確にして提言いただいているというふうに感じました。  問題は、これを私たちがどう生かしていくのかということだと思うわけです。それで、今、段々の議論を聞いていまして、例えば組織的なマネジメントの問題も厳しく言われておりますけれども、この検証の中で、本事例では、区母子保健担当の保健師の上司に当たる職員、つまり部長、課長、係長は、本事例の最終段階に至るまで、本児の存在を認知することはなかったというふうに記述されており、その後に、このことは、本事例のみならず、他の事案全般についても同様のことが起こり得ることを示しており、大きな不安を感じざるを得ないというふうに書いてあります。  それで、もちろん子ども未来局の皆さんだけの問題ではなく、全市的な課題でありますけれども、支援の必要の方の側に立って仕事を進めていくというふうに考えれば、例えば税金の問題だとか国保料の問題だとか、払えない市民も残念ながらたくさんいらっしゃるわけであります。そうした支払いが困難なときに、市の職員や、その職場全体として、その背景にどう迫っていくのかということが、私は極めて重要だろうというふうに思っております。  そこで、きょうは、昨年の6月26日の文教委員会でも、質疑を、高橋所長ともさせていただいて、このときの質疑の中で、私の質問に対して、検証委員会の中で明らかにしていただきたいという箇所が2カ所ぐらいありました。1カ所は、5月の15日ですか、虐待の事実はないということを誰が判断したのか、組織的に判断したのか、それとも誰かの判断だったのかということ、それも検証委員会の中で明らかにするということでした。それから、同行訪問を警察から求められたときに、可能なら同行したいと、その可能ならという意味合いは何なんだということをお尋ねいたしました。これも、検証委員会の中で明らかにしていただきたいということでありました。  それで、私、その部分、よく読みましたら、ヒアリングも含めて、丁寧に状況について記載をされておりますので、きょうは、その部分についてはあえて質問をしないということにさせていただきます。  そこで、昨年の6月10日、第1回緊急対策本部会議において、本部長である町田副市長から副市長指示事項の文書が出され、今月17日の第3回緊急対策本部会議では、市長指示が出されました。そして、昨日、18日には、市長から職員に向けた職員の皆さんへというメッセージが庁内イントラネットメールによって発出されたということであります。第1回緊急対策本部会議の挨拶で、町田副市長は、全庁一丸となって対応していくと述べ、秋元市長は、市長指示の中で、市役所の全職員が、他人ごとではなく、自分のこととして報告書の最後の言葉を重く受けとめなければならない、また、市全体で本気で取り組む、さらには、不退転の決意を持ってこの取り組みに当たっていきたいなど、職員への指示を出すとともに、みずからの決意を示されました。  もちろん、全職員は重く受けとめなければなりません。しかし、少し厳しい言い方かもしれませんが、問題は、動こうという市職員の職場になっているのかということだと思うんです。そこで、緊急対策本部の本部員でもある山根局長に最初にお尋ねをしたいと思います。  どうしたら市長の指示に応えることができるのか、これが可能になるためにはどうしなければならないのか、率直に局長のお考えをお尋ねしたいと思います。 ◎山根 子ども未来局長  市長の指示事項等をいかにして実現していくのかというご質問でございました。  3月17日の緊急対策本部会議の中でも、市長からは、複数の部局が折り重なって仕事をする協働の視点が重要であるということ、そして、もう一つ、支援を受ける方々の立場になって問題を理解する観点が大切なのだというお話がございました。昨日付で発出された市長からの職員全員に対するメッセージの中でも、繰り返し、同様のことがメッセージとして発出されているところであります。  私どもとして、まず、この、今回いただいた報告書を全職員にしっかりと熟読していただく、あらゆる研修の機会等を通じて、また、管理職員に対しては、その所属の職員に、しっかりと、この提言書に基づいて、自分の仕事に置きかえてどう対応すべきかということを考えてもらうという取り組みを進めてまいりたいと思っております。それと同時に、3月17日の会議で市長から指示がありましたが、全庁横断的な組織を立ち上げて、その中で、今回いただいた提言に対する対策の取りまとめ、そして、それが、実際、実行に移されているのかどうかという検証を含めて、PDCAのサイクルでしっかり回していくという取り組みをスタートさせます。  そういった取り組みの中で、職員の意識の中に市長から指示のあったような事柄についてしっかり根づかせることによって、組織全体でしっかり取り組んでいける体制を整備してまいりたいと考えてございます。 ◆村上ひとし 委員  局長のおっしゃるとおり、さまざまな手法や形で取り組んでいくということは極めて重要であると思います。  しかし一方で、10年間に4度も検証報告という、異常な事態だと私は思いますけれども、その都度、課題を踏まえた提言が出されてきたわけであります。私は、トップの指示に応えることができない札幌市だから、こうした状況が続いているんだろうと。つまり、職員個人の力量では超えがたい、組織としての構造的な問題があると感じていますが、局長は、その辺、どのように認識されているでしょうか。 ◎山根 子ども未来局長  検証委員会からの提言の中でも、当然にして、職員個人の資質による問題ではなくて、組織の構造的な問題、マネジメントの問題、仕組みの問題なのだという指摘を受けているところでございます。  まず、1点目は、組織マネジメント、これをしっかり徹底していく取り組みをすること、それと、協働の視点、あるいは支援が必要な方々の立場に立って考えるという、職員の意識を変えていく取り組み、意識の問題だけではなくて、仕組みとして、それをどう職員に根づかせるのかということをしっかり全庁横断的な組織の中で検討して、それを実行に移していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  職員の意識を変えていくということも当然必要なんだと思うんですけれども、やっぱり、今、局長がおっしゃったように、その担保をしていく仕組みをどう構築するのかということは、一朝一夕にいかないかもしれませんけれども、重要であると思います。この構造的な問題がどうなんだという部分については、難題かもしれませんけれども、検証報告で指摘された課題と提言に接近をし、問題の本質をひもといていく鍵となる部分だと思います。市長は、緊急対策本部については、今後、関係のある各部局をさらに幅広く追加もしながら、恒常的な組織へと発展させていきたいというふうにも述べております。私は、その取り組みの中で、組織の構造的な部分についても大いに議論を深めていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  次の質問に移りますけれども、3月12日の定例の記者会見で、市長は、検証報告はまず職員全員が熟読する、これは、山根局長もおっしゃいましたけれども、昨日の職員メッセージでも、この報告書をぜひ読んでほしいというふうにおっしゃっておりました。第1回から第3回の検証を整理すると、全て、または複数の検証に共通している課題があり、今回も共通していることが指摘されているわけです。しかも、いずれも基本的な事柄だということは、相当に重く受けとめる必要があると思います。  そこで、お尋ねをいたしますが、子ども未来局として、職員と職場に対してどのように検証報告の内容を学び、生かしていくお考えなのか。  読むだけでは、当然生かすこともできませんし、通り一遍の研修でもなかなか難しいと思うんですけれども、そのあたり、どのように内容を学び、生かしていくお考えなのか、お伺いをいたします。 ◎山根 子ども未来局長  市長の指示にもありましたが、今回の問題は、子ども未来局、児童相談所だけの問題ではなくて、提言書にある指摘事項は、札幌市の組織全体の仕事の進め方にかかわる問題でございます。  市長も、その思いから、全職員にこの報告書を読んでもらいたいというメッセージを発出しているところでありますが、その報告書の内容の職員への浸透につきましては、総務局とも協議をいたしまして、例えば新採用職員研修のテキストにこの報告書を用いるだとか、あるいは、各区のそれぞれの職場の事例研修にこの報告書の事例を引用してもらうとか、そういうふうに、一度、二度ならず、たびたびこの事例を振り返ることができるような活用の方法、これを全庁に働きかけてまいりたいと考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  市長の考え方と、それと、各部局のトップとしての考え方というのは、私は多少違うことがあるべきだというふうに思うんですよね。市長の指示に従いつつも、それぞれの職場というのはやはり違いもあるでしょうから、そのあたり、部長や課長の皆さんが忌憚のない意見交換ができる中で、どのように進めていくことが子ども未来局として有効なのかということを十分議論しながら進めていただきたいと思いますし、そして、全庁一丸となっていくという中でも、子ども未来局の皆さんがやはりリードできるような、職員と一体的に学びながら生かしていくというふうにしていただきたいというふうに思います。  そこで、次の質問に行きますけれども、専門的力量を持つ職員を養成する体制の構築についてですが、関係団体などが主催する研修会など、複数あると思うんですけれども、多くの職員が自主的に参加できる職場風土の構築が必要だと思いますが、まず、認識をお伺いいたします。  また、児童福祉司などの職員が専門性を発揮できるまでには最低5年から10年の経験が必要であると指摘する専門家が多いわけでありますが、この点は、今後どのように検討されるのか、お伺いをいたします。 ◎高橋 児童相談所長  まず、前段の研修についてのご質問でございますけれども、児童相談所におきましては、専門性の強化のために、職員経験に応じた計画的な人材育成ということで、現在、さまざまな研修計画、とりわけ、これは、今年度から大幅に予算もつけまして取り組んでいる最中でございます。さらには、今お話がありました、いろいろな民間ですとか社会福祉法人等が主催している研修会等、こういったものにも、積極的に、一部の職員は個人的に参加し、取り組んでおります。  あわせて、児童相談所の中では、若い職員が、自主的に、夜間、会議室を使って先輩職員による勉強会をしております。今さら、これはふだんでは聞けないけれどもということで、本当に1年目、2年目の職員、原点に立ち返って、実はそうだったんだと。マニュアルには書いてありますが、非常に分厚いマニュアルでもありますので、児童相談所の業務、虐待以外にもさまざまな相談を受けています。そういったところの技術的な部分も、オープンな風通しのいい職場として、児童相談所では、札幌市役所の職員、福祉コース採用を始めて、これまでもう十数年たっております。今では200名近い職員にもなっておりまして、自主的な研修会も取り組んでいるところでございます。  それから、後段の部分につきましても、経験年数についても、ある専門家等によれば5年から10年必要というお話もございます。確かに、ソーシャルワーク、福祉職場では、いろいろな経験値ということが、相談をされる方にとっても豊富な知識と実績とともに安心を持って相談していただけるかと思います。  今現在、通常の一般職場ですと4年前後、4年ないし5年といった人事異動のサイクルで行われておりますが、私ども児童相談所では、新規採用を含めまして、児童福祉司であれば6年とか、一般よりは長い運用をしておりますし、心理であれば8年、9年という職員も多くおります。そういったところでは、児童相談所、ほかでも長くしておりますし、例えば、児童相談所に人事異動を経て配置される職員も、税務からいきなりですとか、土木からいきなりと、同じ事務職員の中でもいろいろとございますが、区役所の福祉部門、生活保護であったり、介護、障がいであったりという、より実践的な経験をした、そして、今現在では家庭児童相談室にも一般職を配置しておりますので、こういったところを経験して児童相談所にも配置をするような流れが今できつつありますので、私ども児童相談所からの異動先としても、そういったところを経験して、また一回り大きくなって戻ってきて頑張っていただきたい、こういう運用をしているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  研修の件で言いますと、例えば、北海道子どもの虐待防止協会が、北海道社会福祉協議会と共催して、毎年でしょうか、フォーラムを開いているということですけれども、全道から300人くらい、専門家、あるいは、そういう仕事についている人たちが参加するそうですけれども、これは、開催が札幌市内であっても、札幌の児童相談所、あるいは児童福祉施設系の職員が自主的に参加している人数というのは極めて少ないんだということを聞きました。ですから、私は、いろんな研修の仕方があると思うんですけれども、やはり、外に出ていく研修というのも大事にしてほしいと思うんです。  高橋所長がおっしゃるとおり、今さら聞けないようなことも、仲間内で研修をしたり、事例で学び合うということも、確かにこれは大切なことだと思うんですけれども、一方で、みずから学ぼうという、そういう姿勢になってほしいし、そして、外であらゆる関連団体とのかかわりを深めれば深めるほど、実は、私は、仕事に対する誇りなんかも湧いてくるというか、自分に自信を持てる職員になっていくことになるだろうと思うんですよ。それは、なぜかというと、職場の中や、あるいは札幌の中だけではなくて、全道や全国に、同じ仕事を通じて、悩みながら、しかし、誇りを持って仕事をしている人間がこんなにいるのかということをやっぱり体験していくということが極めて重要だと思いますし、これは、強制的に参加しろというふうにも当然なりませんから、職場風土として、研修を、自主的にいろんな形で参加し合うことができる、そういう研修を、大いに悩みながら実施していってほしいというふうに思います。  それから、今後、第2児童相談所もつくるということになりますので、専門性の構築というのは、思い切った対策を、私は、していいというふうに思うんですよ。それはなぜかといいますと、前回、昨年の6月、高橋所長に質問して、児童相談所児童福祉司の平均年齢と経験年数をお尋ねいたしました。そうしますと、昨年の6月末現在の数字でありますけれども、平均年齢30.8歳、それから、6月末での平均の経験年数が1.59年という結果でありました。  こういう職場の中で、児童福祉司の経験の浅い職員や、そこに新任職員が配置されるということになると、もともと経験年数が浅い職員が多い職場にあって、新人の職員がたくさん配置されていくということになりますと、それはそれで、職員の皆さん、現場にとっては大変厳しい状況になることが懸念されるわけであります。ですから、今、勤めている児童福祉司については、第2児相を想定しながら、思い切った人事政策をすべきだというふうに思いますし、総務局に対してもそのように働きかけをしていただきたいというふうに思います。  そこで、次の質問に行きますけれども、高橋所長は、今回の検証報告を受けて、他の都市だとか、あるいは海外の都市でも構わないんですけれども、学ぶべき児相のあり方とか、ここは視察をすべきだとか参考にすべきだというところは、ご自身としてございますか。 ◎高橋 児童相談所長  海外にまだ私の目は行っておりませんが、少なくとも政令市では児童相談所長会議で何度か意見交換をしておりますので、例えば、神戸市は直近でもやりましたし、あそこは単独児童相談所でやっています。同じ関西、近畿圏でも、ほかのところは複数児相も持っていますし、福岡市の児童相談所長はドクターでもあります。福岡の児相長は、長年、児相長を務められている方でもありますので、福岡市の単独での運営の考え方、そういったところも、今回の提言とも照らし合わせて、具体的にどうやっているのか、日ごろの表面的な意見交換は、毎年、定例的にやっておりますが、可能であれば私自身が見習い職員として行ってみたいなという思いはございます。 ◆村上ひとし 委員  今、神戸、それと福岡の話がありましたし、福岡で言いますと、藤林先生、所長、精神科医をされていたと思いますけれども、所長であるということで、著書も何冊かあるということであります。  これは、先ほどの警察署との連携という上でも、福岡は非常に参考になるというふうに私は思っておりますし、先ほど、先進的な事例に学ぶというお話もありました。ぜひ、他都市の先進的な事例をたくさん見ながら、この検証報告書の提言に接近していく取り組みをしていただきたいというふうに思います。  そして、最後の質問になりますけれども、児童相談所の第三者評価の導入は、今後検討されないんですか。 ◎高橋 児童相談所長  第三者評価につきましては、私ども、将来的には導入したいと考えております。  ただ、評価する機関そのものが、今、北海道内にはないという状況でございますので、評価できる機関、全国的にも数多く誕生していただいて、私どもの仕事といいましょうか、業務についての評価、これは行っていきたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  この第三者評価にかかわる専門家などが、どういう構成がいいのかだとかも含めて、ぜひ前向きに検討をしながら、児相のあり方もセットで考えていただきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。 ○松井隆文 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○松井隆文 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時21分...